だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

忘れ物

小学生の頃、私はよく忘れ物をした。

ハンカチ、ちり紙、筆記用具。

教科書、下敷き、リコーダーに体操服。

果てはランドセルまで忘れた時もあった。

あの時はさすがに先生に怒られた。

「お前は一体何しに学校に来ているんだ?」と問い詰められた。

しかし、「遊びにきてます!」などと正直に言えば、

地面に叩きつけられたメロンパンにされてしまうのは目に見えた。

なので私は口をつぐんだものだ。

中学・高校に入ってからも、私は何かを忘れ続けた。

そしてそれは、私がアフリカで傭兵になってからも変わらなかった。

戦場に行く時、私はいつも何かを忘れた。

靴とか、弾とか、ライフルとか。

だが、皮肉なものだ・・・戦場では何も忘れなかった奴から死んでいった。

いつも忘れ物をしていた私だけが生き残った。

そしていつしかそれはジンクスになった。

忘れ物をしていけば生還できる。

何かを忘れて来る者は、戦場に命を置き忘れてくることはない。

今では私は忘れ物をすることを忘れない。

忘れ物をしなくなった時、それが私の死ぬ時なのだ。