だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

お台場の思い出

 

今日は友人から、

お台場へ行った話をされた。

そしてお台場が楽しかったことを

自慢されたので、

私はとても悔しくなった。

なので私もお台場が

楽しかった話をしようと思う。

私だって数年前に他の友達と行ったのだ。


さて、まずはお台場に行く方法を話そう。

お台場は内地からほんの少しだけ

離れた小島なので、

途中で橋を渡ることになる。

その橋はあの有名な

レインボーブリッジだ。

とてもでかい橋で、

鉄道や車道も通っている。

そして実は歩道もあるので、

歩いて渡ることもできるのだ。


ちなみにレインボーブリッジは、

夜になるとその名の通り、

七色のライトで照らし出される。

とても美しい光景だ。

いいなぁ。

我々も七色に輝きたい。

そういうわけで、我々は

殺蛾灯におびき寄せられる害虫のように、

レインボーブリッジに群がったというわけだ。


だが、内側から見てみると、

橋はただの鉄の塊だった。

美しいものなんて、所詮こんなものだ。

美しいものときたらいつもそうだ。

この世に美しいものなんて

存在しないんだ。

我々は世界に失望しながら、

虹の橋を渡ったものだ。


ところで、レインボーブリッジには、

あの有名な電車

ゆりかもめが走っている。

ゆりかもめとは、

運転が自動化された列車のことだ。

覗いて見ると本当に運転室は無人である。

それなのにちゃんと走行している。

私はそのテクノロジーに感動した。

きっと近い将来、

客も無人化されることだろう。

空虚な橋に無人の列車。

夢の未来に心が躍った。


さて、そうこうしている内に、

お台場に着いた。

ところで、みんなはお台場と言ったら

何を思い浮かべるだろうか?

そう、蟹である。

お台場の岩場には

蟹がたくさんいる。

あとフナムシもたくさんいる。

お台場が人気なのも頷ける話だ。

我々は思う存分

蟹を捕まえたりした。


だが、それ以外は何もない。

古代ローマ帝国によって

破壊し尽くされたカルタゴのような

荒野が広がっているだけだ。

お台場には何もない。

友人が見たのは、恐らく過去の幻影だろう。

そんなものを見せられて浮かれている

友人の姿は哀れとしか言いようがない。

私は心の底から同情した。

別に私は悔しくなんかない。

お台場でもっと楽しみたかったなんて

ほんの少ししか思っていないのだ。