今日は友人達と歯磨き粉の話になった。
色々とおすすめの物が出たが、
どうやらスミガキという
歯磨き粉が良いらしい。
これはその名の通り、
炭を利用したもので、
歯がツルツルになるそうだ。
私はそれを笑った。
「何を馬鹿なことを言っているんだ。
炭で歯が白くなるわけないだろう。
真っ黒になるに決まっているじゃないか」
私はみんなの愚かさにあきれ果てた。
帰宅途中、私はマツキヨで
こっそりとスミガキを買って帰った。
私の歯もツルツルにしてほしい。
だが、1つ問題があった。
あれだけスミガキを馬鹿にしたのだ。
いざ、使ってみたら、
スミガキに報復されるかもしれない。
私は歯磨き粉の反乱を恐れた。
かくなる上はスミガキを
国賓として遇しよう。
そのためには掃除だ。
歯を綺麗にしてもらうわけだから、
まずは新居を綺麗にしなければ。
私は洗面台周りの掃除を始めた。
まずは歯ブラシの交換だ。
歯ブラシは歯磨き粉の
バディとも言うべき存在。
良い物を用意せねば。
私はちょっと良い歯ブラシを出してきた。
次に洗面台の汚れの掃除だ。
そのために、私は用済みなった歯ブラシに
汚れ仕事を押しつけた。
綺麗になっていく洗面台。
汚れていく歯ブラシ。
洗面台に社会の矛盾が集まり始めた。
また、洗面台には100円ショップで買った
安物のコップがあった。
よく見ると少し黒ずんでいる。
これは良くない。
私はコップに
「お前の代わりはいくらでもいる」
と言って捨てた。
これで洗面台は綺麗になった。
あとは寝る前に歯を磨くだけだ。
私はスミガキをトイレのタンクの上に置いて、
洗面台を離れた。
そして今、トイレで入水自殺をしている
スミガキの遺体を発見した。
一体何が悪かったのか・・・。
