先日のH氏との五反田探検の続き。
我々は迷いの森を抜けて、さらに歩いた。
途中、公園があった。
公園のブランコを見ながらH氏が言った。
H 「そういえばぶっだ、
色んな資格を持ってたよね?
ブランコ検定2級とか」
私 「いや、この前1級を取った。
実技試験のブランコ4回転ひねり半乗りが大変だった」
H 「さすがだな」
私 「まぁ、ブランコ学科首席だからな」
また、途中の道路にイタリアの地図が描かれたトラックが停めてあった。
H 「一体何屋さんなんだろうか」
私 「古代ローマ帝国屋さん」
H 「何を売っているんだ、それ」
私 「夢じゃないかな」
さて、しばらく行くと、
近くにソニー歴史資料館というのが
あることを我々は知った。
H 「入り口が3つあるそうだ。
正門、裏門、立ち入り禁止。
どれから行く?」
私 「もちろん、立ち入り禁止からだろ」
だが、立ち入り禁止口は固く扉で閉ざされていた。
仕方ないので下層市民の我々は、
裏門から申し訳なさそうに入った。
だが、そもそもその建物は
ソニー歴史資料館ではなく、
ただの隣のマンションだった。
今度はちゃんと場所を確認し、
ようやくソニー歴史資料館に入ることができた。
館内はこれまでソニーが作ってきた
様々なものが展示されていた。
例えばテープレコーダー。
最初のテープレコーダーはどのように作られるのか、
動画で説明がされていた。
どうやら磁気テープには特殊な粉末が必要らしい。
それには硝酸第2鉄に熱を加えなければならないようだ。
ここで開発者のおじいちゃんが現れ、
フライパンに硝酸第2鉄をぶち込み、
コンロで温め始めた。
なんなんだ、突然3分クッキングが始まったぞ・・・。
なんともシュールな光景だ。
その後、粉末をテープに塗りつけて完成した。
おじいちゃん 「もの言う紙の完成です」
ちなみに私は飲み会では、もの言わない人になる。
他のコーナーへ行くと、
ハイビジョンVTRの当時の値段が書いてあった。
私 「4500万円だって」
H 「安いな。
ぶっだ、前にもっと高い値段で買ってたよね。
一体いくらで買ったっけ?」
私 「一兆マルク」
H 「一次大戦後のドイツみたいだな」
他にも気になるものがあった。
ヒーリングクリーチャー キューと呼ばれる商品だ。(本当にある)
ヒーリングとクリーチャー。
形容矛盾感がすごいな・・・。
映像を見ると、発光しながら
ゴボォ!ゴボォ!と水音を響かせて、
ゴロゴロ転がる球体クリーチャーの姿があった。
これに癒される人間にとても興味がわいてくる一品だ。
その後、我々はちょっとトイレをお借りした。
トイレの前には洗面台があった。
H 「すごいぞ、ぶっだ!
蛇口から水が出る!
水で手が洗えるよ!」
私 「すげぇ、こんなの初めて見た!
さすがソニーだ!」
我々はソニーの技術力に感動した。
ちなみにトイレは自動ドアだった。
しかし、友人が入ろうとしてもまるで反応しなかった。
H 「ドアに認識されない・・・。
俺は人間じゃないのか?」
私 「何を言っているんだ?
君は前からヒーリングクリーチャーだ」
H 「ゴボォ!ゴボォ!」
館内にはウォーターサーバーもあった。
H 「すごいぞ、ぶっだ!
水が飲めるぞ!」
私 「すげぇ、こんなの初めて見た!」
さすがソニーだ。
一体どこまで我々を驚かせてくれるんだろうか。
だが、ウォーターサーバーのすぐ隣には、
館内飲食禁止の看板があった。
H 「この水飲んじゃいけないのだろうか。
これは一体どういうことなんだ?」
私 「きっと独創性、クリエイティビティを
試されているんだと思う。
常人にできない発想力で
これを乗り越えろということなんだ。
この難問にクリアできればきっとソニーに入れる」
しかし、独創性に欠ける我々は、
何ら答えを見いだせなかった。
我々はソニーへの入社は諦めた。
さて、ところでソニーと言えば、
やはりなんといってもあれが有名だ。
そう、あの人型ロボットである。
しかし、辺りを見渡しても
どうもその姿が見あたらない。
私は係員に尋ねてみた。
私 「あのー、アシモって無いんですか?」
係員 「アシモはホンダです」
私 「あっ・・・」
我々はそそくさと資料館を退散した。