先日、友人と会った折りに、
人間カフェに行ってきた。
人間カフェとは、
猫カフェやフクロウカフェに
猫やフクロウがいるように、
人間がいるカフェのこと。
まぁ、要するに普通のカフェだ。
今日はそのことについて書こう。
我々は近くのカフェに入った。
友 「ぶっだはコーヒーは好きか?」
私 「コーヒーかぁ・・・
胃液よりは好きだよ!」
友 「嫌いって言えよ」
私はカフェラテを、
友人はコーヒーを注文した。
そして我々は
「カフェとは一体何か」
ということについて、議論した。
カフェをカフェたらしめている物・・・
それは間違いなくカフェだ。
カレー屋のアイデンティティを規定するものが
カレーであるように、
カフェもやはりカフェがアイデンティティなのだ。
私 「ところで、カレー屋の純度を高めていくと、
カレーしか置いてないカレー屋になると思う」
友 「そうなるな」
私 「ならばカフェのイデアとは、
カフェしか置いてない店になるはずだ。
でもカフェって一体何だろう」
友 「まずはカフェラテやカフェオレだろう。
あとはカフェの語源は珈琲なんじゃないか。
だから純粋なカフェは、カフェラテとカフェオレと
珈琲しか置いてないんだろう」
私 「じゃあそれ以外の物を置いてるカフェは
不純物が入り混じった不完全なものにすぎない」
友 「全くだな。
カフェでメロンソーダなんて異物が
売られているのは、本当に不自然だ。」
私 「なんだと!
メロンソーダを否定することは
誰にも許されない」
メロンソーダの素晴らしさについては
日を改めて述べよう。
あと良いカフェに欠かせないのが
マスターの存在だ。
マスターのいない無人カフェは不気味だ。
やはりカフェにはマスターが欲しい。
あと、マスターには
慎み深さと礼節が求められる。
もしマスターがノリノリで
ヒップホップなんかを口ずさみながら
パンナコッタを出してきたら、
興ざめもいいところだ。
マスターには大人の落ち着きが
必要なのだ。
さて、人間カフェという以上、
人間を見てみるのがいいと思う。
我々は人間をちらりと見た。
窓際の席にはカップルがいた。
ニコニコと楽しそうに話し合っている。
恐らく別れ話だろう。
テーブル席にはOLがいる。
きっと魔法少女だ。
夜は世界を守るために邪悪な魔物達と戦い、
昼は生活を守るために邪悪な同僚達と戦っているに違いない。
私 「ところでOLって何の略だろう?」
友 「オーバーブースト・レディ」
私 「すごく強そう」
ところで、気になるのが
隅の席にいたおじさんだ。
精魂尽き果てたその姿に
我々は感動した。
彼は間違いなく
さっき世界を救ってきた勇者だ。
彼は仲間達との冒険の果てに、
魔王との決戦へと臨んだ。
勇者一行は辛くも勝利したが、
同時にそれは大きな傷を残した。
他の仲間達は全て力尽き、
勇者自身も力を出し切った反動で
一気に老け込んでしまった。
そしてこんなおじさんになってしまったのだ。
彼はいまだそのショックから
立ち直れないのだろう。
我々は彼の犠牲的献身に
深く感謝した。
今我々が平和を享受できるのは
彼のおかげなのだ。
今はゆっくり休んでほしい。
そんなわけで、
我々は人間カフェでカフェの真髄を、
そして人間の生の輝きを学んだ。
人を知りたかったら
人間カフェに行くといいと思う。
きっと人間の全てを
知ることができるはずだ。