深海魚になりたいという欲求は
人間の最も本質的な欲望の1つだ。
私もその本能に従って
深海展という展覧会に入った。
恐らく本展覧会は、
そうしたニーズに応えるために
開かれたのだろう。
さて、我々の憧れの深海魚達は
過酷な環境で生きている。
太陽光線の届かない闇の中で生きるには
様々な工夫が必要だ。
そしてそうした生存技術は、
社会という名の深海で生きる我々に
閃きと活路をもたらしてくれることだろう。
生き抜く力、大事。
深海でのいろんな生存スキルを見てみよう。
まずは、光を発して捕食者の目をくらまし、
その隙に逃げるという方法。
コウモリダコやヒオドシエビがこの手を使う。
これは使えそうだ。
私も怖い人に絡まれたら
発光しながら逃げよう。
また、今度は光で獲物をおびき寄せ、
それを捕食するというのもある。
チョウチンアンコウなどがそれだ。
恐らくはパチンコ店は
この技術を応用したものだろう。
深海の技術は人間界にもよく使われている。
次に、天敵に襲われそうになった時、
その天敵のさらに天敵を呼び出して、
撃退してしまうのもいる。
これも、上司に襲われた時、
上司の上司を召喚するという手で
活用できるだろう。
深海では凄まじい水圧がかかる。
これが深海の圧力にさらされると・・・
こんなに縮む。
いつもでかい態度で
周囲を困らせている人がいたら、
深海に連れてこよう。
きっと自意識が縮んで謙虚な人間になるはずだ。
館内はダイオウイカが泳いでいた。
そして迂闊な客が何人も食べられている。
心温まるふれあいコーナーだ。
また、館内には様々な動画があった。
記憶に残ったのは深海サメの映像だ。
深海でサメの餌を檻に入れておくと、
大量のサメが寄ってくる。
そして餌へと殺到する。
だが、檻に入っているので食べられない。
そして餌の周りは
発狂状態のサメ達で溢れる。
まるで課金ガチャを禁じられた
ソシャゲ廃人のような光景だ。
深海魚コーナーを抜けると、
深海探査艇と操縦士のレプリカが展示されていた。
操縦士はどんな表情で操作してるんだろうな。
私は前にまわってみた。
ヒッ、死んでる・・・!
これが深海だ。
深海って怖いんですよ。
続いては海洋探査船コーナー。
ちきゅう号という船は、
誤差数メートルで同じ場所に
とどまることができるらしい。
だが、私は誤差数センチで
地上にとどまることができる。
勝ったな・・・。
私は優越感に浸りながら
ズンズン進んだ。
次は探査船 資源号。
たくさんの探査ケーブルを曳航し、
地震波を捉えるらしい。
ダメだ、勝てない・・・。
私は敗北感に浸りながら
トボトボ進んだ。
さて、ここまで色々見てきたが、
最後に、生きる上での様々な問題に対して、
最も有効なソリューションが示されていた。
ドリルだ。
回転するドリルは堅い岩盤を貫き、
あらゆるものを粉砕する。
我々が生きる上で最も参考にできるところだ。
煩わしい人間関係も、
勉学や仕事の悩みも、
ドリルを使えば一発である。
要するに、とにかくドリルだ。
ドリルはすべてを解決してくれる。
これが今日の教訓だ。