先日の連休、
友人からドライブに誘われた。
友 「この前免許を取ったばかりなので、
運転の練習をしたい。
ちょっと付き合ってくれない?」
私 「いいよー」
そういうわけでドライブに行ってきた。
車はそこらへんの安いレンタカーを
利用することにした。
安くても、カーナビはついているので安心だ。
我々は意気揚々とドライブを開始した。
友 「さぁ、どこへ行きたい?
好きなところへ連れていってあげよう」
私 「じゃあまずそこの信号無視している
歩行者を軽くはねてみてよ」
友 「ドライブ始まる前に終わるわ」
残念ながら希望は却下された。
レンタカーは最安値だけあって、
音楽をかけることができなかった。
友 「眠くならないか心配だ」
私 「じゃあ私がドライブを実況して
退屈させないようにしよう」
友 「それはありがたい、頼んだ」
私 「チャリ・オン・ザ・ロード。
チャリ・オン・ザ・ロード。
カー・オン・ザ・ロード。
バイク・オン・ザ・ロード。
チャリ・オン・ザ・・・」
友 「お前実況向いてねぇよ!」
残念ながら実況も
クビになってしまった。
私は仕方なく危ない車がいないかを
探す役になった。
しばらく探してみると、
どうも前の車が怪しい。
時々ふらふらして安定しない。
多分居眠り運転だ。
友 「あれ、危ないな」
私 「起こしてあげようよ。
軽くバックミラーをへし折るだけでいいから」
友 「なぜ死に急ごうとする?」
ちなみに、友人の運転は上手だった。
免許を取ったばかりとは
とても思えない腕前だ。
私 「ドライビング、安定しているな」
友 「ありがとう」
私 「もっと生きることに
疑念を抱いていそうな、
そんな小刻みで不安定な
運転かと思ったよ」
友 「降りる?」
私 「ごめんなさい」
だが、そんな友人でも
居眠り運転をしまいかと恐れていた。
友 「何もないよりかはマシだ。
やっぱり実況を頼もうかな」
私 「じゃあ各国のGDPと
経済構造についてお話しよう」
友 「お前は生きて帰る気あるのか?」
その後は大人しくカーナビの
示す道を友人に教えたりしていた。
だが、このカーナビが曲者だった。
どうも間違った道ばかり教えてくる。
私 「そこを左に曲がれって言ってるよ」
友 「道なんかねぇぞ。壁しかないんだが」
私 「カーナビが死ねって言ってる」
友 「死ぬかぁ」
そして我々がそのまままっすぐ行くと、
私 「カーブなんかしないで
もうとにかくまっすぐ行けだって」
友 「完全に見捨てられたな」
こうして我々とカーナビとの
信頼関係は完全に失われた。
だが、不思議なことに
それ以降は急速に事態が好転した。
そしてカーナビが指し示すより
よっぽど早く進めるようになったのだ。
このドライブは、
我々に多くを教えてくれた。
我々が学ぶべき教訓、それは
自分の進路を人任せにしてはいけない、
自分の道は自分の力で
切り開かなければならない、
そうしたかけがえのない事実なのだ。
目的地にすらたどり着けなかった我々は、
そう自分に言い聞かせて、
その日のドライブを正当化した。
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