だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

あいさつに学ぶ本音と建前

 

我々が社会生活を営む上で、

あいさつはとても大切である。

我々は日々顔を合わせる人達に対して、

必ずあいさつをする。

もしそれを怠れば、周りから

白い目で見られるのは間違いないだろう。

だが、あいさつだけしていれば

いいかというと、そうでもない。

ここが日本社会の難しいところだが、

我々は常に本音と建前を使い分ける。

そして建前を言葉通り受け取ってしまうと、

痛い目を見ることになるだろう。

この本音と建前の区別は、

もちろんあいさつの中にも存在する。

今日は、人間関係の最初の一歩で

つまずかないためにも、

あいさつの中の本音と建前を考えてみよう。

 

さて、それでは最初のあいさつだ。

我々は外へ出かける時、

元気よくこんなあいさつを発する。

「いってきます!」

もちろんこれは建前だ。

本音に変換するとこうなる。

「早く帰りたい・・・」

これはその人から発せられた

明確なSOSのサインだ。

もっと寝ていたい!

学校や会社になんか行きたくない!

そういった魂の叫びなのだ。

こうしたエマージェンシーコールを

決して見逃してはいけない。

もし家族がこんなあいさつをしたならば、

必ず引きとめよう。

そして布団に連れ戻し、

安静にさせなくては。

そうでないと取り返しが

つかないことになるだろう。

もっとも、そうであっても

取り返しがつかないことにはなるが。

 

次は学校や会社に到着した時だ。

我々はクラスメイトや同僚に、

こんなあいさつを発することだろう。

「おはようございます!」

無論、これも建前だ。

本音に変換するとこうなる。

「眠い・・・早く帰りたい・・・」

これも危険なサインである。

こうしたあいさつをされたなら、

そっとしておいてあげなければならない。

もしこれに元気よくあいさつを返そうものなら、

「朝から静かにしていることもできないのか」

と相手を不快にさせてしまうことだろう。

朝のあいさつは静かに。

これがマナーというものだ。

 

次に日中のあいさつだ。

「こんにちは!」

無論、これも建前だ。

本音はこうである。

「貴様と話すことなどない」

そう、何もないのである。

だから人間はあいさつなどという

中身が空っぽなものにすがるのだ。

我々はこのあいさつを交わしたら、

そのままさっと立ち去ろう。

これは人間関係の基本である。

 

さて、日も暮れてきた。

するとこんなあいさつが飛び出す。

「こんばんは!」

これは良いシグナルである。

本音は

「ヤッター!もうすぐ帰れる!」

だからだ。

こうしたあいさつをされたら、

雑談なんかをしてみるのもいいだろう。

 

だが、時として悲劇は訪れる。

こんばんは!の後に帰ろうとしたら、

呼び止められ、

飲み会へ連行されることもあるからだ。

そして賑やかな焼き鳥屋なんかに連れて行かれ、

有無を言わさず生ビールを注文される。

そして乾杯のあいさつである。

「お疲れ様!」

これは非常に危険なシグナルだ。

本音へ変換するとこうなる。

「疲れたって言ってんだろ!このウチワヒゲムシが!」

見ての通り建前の中にキーワードが含まれ、

もはや本音を隠すことができていない。

焼き鳥を貪り食べながら、

脳内ではその元凶も

串刺しにしたりしていることだろう。

一刻も早く解放してあげなければ。

 

だが、それを見逃してしまうと

最後にはこう言われることになる。

「さようなら」

これは

「何か言い残すことはないか?」

という最後通牒だ。

もはやすべて手遅れである。

辞世の句を読んで、

現世とさよならしよう。