先日書いた町作りゲーム Cities Skylinesのつづき。
次々と町作りに失敗していく私を見て、
ツトム氏(自称)が業を煮やした。
「俺が本当の町作りを見せてやる!」
そう言って彼は私からキーボードを奪った。
彼はこのゲームの持ち主だけあって、
さすがに町作りがうまい。
住宅の高さは制限され、
隣の家との距離もゆとりがある。
アメリカのリッチな郊外と言った感じだ。
私の近未来ディストピアめいた都市とは、
まるで違っていた。
私 「さすがだな」
ツトム 「そうだろう」
町は着々と拡大し、
インフラも整備されていった。
だが、ある時点を境に、
急速に人口と税収が落ち込み始めたのだ。
建物を拡大してみると、
住民は死亡しているか、
住宅を放棄している。
私 「君の町、なんかすごい勢いで
ゴーストタウン化してるぞ」
ツ 「うーん、おかしいな」
原因はなかなか特定できなかった。
教育も医療も足りているし、
警察や消防も整備されている。
一体何がいけないのか。
しばらく考えていると、
友人はふと閃いた。
ツ 「わかった!
火葬場と墓地が足りないんだ!
一気に人口を増やしたから、
彼らが一斉に老衰死したんだ!」
私 「団塊の世代みたいだな・・・」
友人は早速、火葬場と墓地を
1つずつ置いた。
だが・・・
ツトム 「ダメだ、霊柩車が足りていない。
もうすべての予算を火葬につぎ込もう」
こうして墓地と焼き場の
建設ラッシュが始まった。
すべての街角に火葬場と墓地が置かれ、
メインストリートには
おびただしい数の火葬場と墓地が立ち並んだ。
どこで死んでも、隣で火葬。
産地直葬である。
私 「すごい!
人口も、幸福度も、経済もV字回復だ!」
ツ 「やっぱ火葬が一番でしょ。
これがバーニングエコノミーだ。
ガイアの夜明け、とかで
紹介してほしい」
その後の町の発展ぶりは凄まじかった。
経済は高度成長期に突入し、
人口は爆発的に増えていく。
また、国際空港には、
海外から多くの人が訪れた。
しかし、この町から海外行きの飛行機は、
いつも無人である。
多分、みんな火葬しに来てるんだと思う。
この町の主力産業が、
海外にも知れ渡ったのだろう。
町の前途はバラ色に思われた。
だが、ここで友人は
致命的な過ちを犯した。
あろうことか消防署の設置を
怠ったのである。
その結果、町のいたるところで
火事が多発した。
住民達は、とうとう建物ごと
火葬を始めたのだ。
こうして友人の築いた火葬の王国は、
炎に包まれて滅んでいった。