だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

童話 油売りの少女

昔々、あるところにマッチ売りの少女がいた。

しかし、少女はマッチを売らず、

油を売って怠惰に過ごしていた。


ある日、暇を持て余した少女は、

あろうことか売り物のマッチに

火をつけて、遊び始めた。

すると火の中から暖炉が現れた。

これには少女は大喜び。

火遊びし放題である。

おかげでその日はいつも以上に

油売りがはかどった。

しかし、火を消すと

暖炉も消えてしまった。 

少女はとても残念に思った。


翌日、味をしめた少女は、

また売り物のマッチに火をつけた。

すると今度は様々なご馳走が現れた。

少女はそれを夢中で食べ、

仕事をほったらかした。

現実世界では少女の

パントマイムめいた奇行が繰り広げられ、

村人達は離れていった。

この日もマッチは売れず、

油を売って過ごすこととなった。


翌朝、少女はさらなる快楽を求めて、

またマッチに火をつけた。

だが、今度現れたのは

大嫌いだったおばあちゃんだった。

おばあちゃんは少女が油を売っている様を、

地獄の底からのぞいていたのだ。

おばあちゃんは少女の怠惰さを口汚く罵った。

だが、逆上した少女は、

マッチでおばあちゃんに火をつけて、

この世界から消し去ろうとした。

こうした少女の態度は、火に油を注いだ。

怒りの化身と化した祖母は、

地獄の業火を呼び出し、

少女は全てのマッチと共に炎上した。


翌朝、焼け跡から

少女の遺体が発見された。

その死に顔は、安らかではなかったという。