だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

自分探しのやり方

自分探しという言葉をよく目にする。

皆さんは自分を探したことが

あるだろうか?

自分探しというのは、

認知症になった老人が

自分が何者だかわからなくなり、

あたりを徘徊することではない。

本当の自分とか、

そういうキラキラしたもの見つける、

宝探しのようなゲームだ。

だが、そのルールを

体系的に教えてくれる本は少ない。

そこで今日は正しい

自分探しのやり方を、

考察してみたい。


さて、自分探しを始めた時、

人は驚くほどよくインドへ行く。

とりわけ失恋した大学生などは、

自分を見失ったり、

正気を失ったりすると、

すぐインドへ行く習性がある。

インドは自分探しの大人気スポットだ。

だが、ちょっと待って欲しい。

ガンジーではないのだから、

インドなんか探しても

自分が出てくるはずがない。

インドは却下だ。 


では、もっと遠くならどうか?

ヨーロッパとかどうだろう。

美しい町並みや、

穏やかな風景を見ていると、

その中に自分を見出したくなるのが人情だ。

だが、しばらく滞在していると、

米と味噌汁が恋しくなり、

ここに自分はいない、

と気づくことだろう。

とりわけパンを毎日食べていると、

フランスパンなんて

人を撲殺するための凶器であって、

食べ物ではないと思い始めるはずだ。


そういうわけなので、

どうも外国に行っても、

自分というのは見つからない、

と気づくはずである。


それでは国内に限定してみよう。

すると、まず思いつくのは、

北海道や沖縄ではないだろうか?

だが、そんな所へ行っても、

見つかるのはカニか、

ウミヘビぐらいだ。

やはり自分を発見するのは難しい。


さて、探し物が遠くにないとわかった時、

一体どうすればいいだろうか?

そんな時は周りを見てごらん。

幸せの青い鳥は近くにいるものさ。

などという戯言で

お茶を濁す人もいる。

無責任な大人はいつもすぐ

そうやって誤魔化すんだ。


だが、そうした態度は誠実とは言えまい。

もう少し真面目に考えよう。

実際のところ、自分というものは、

確かに近くに潜んでいる。

より具体的に言うならば、

押入の中とかを漁ると良い。

すると多分、日記帳とかが

出てくるはずだ。

それを開いてみてほしい。

するとすごいスピードで

飛び出してくると思う。

そして自分という奴は、

1匹見つけたら、

30匹はいると思った方がいい。

日記だけではなく、

卒業アルバムの中や、

レターケースの隅とかにも

うようよといる。

それを見たら思わず叫び声を上げ、

逃げ出してしまいたくなるものである。


だが、一番やってはいけないのは、

見なかったことにし、

放置しておくことだ。

そんなことをすれば、

奴らはいつの間にか繁殖し、

何倍にもなって帰ってくることだろう。

大切なのは、 

見つけても慌てず、

落ち着いて確実に息の根を止めていくこと。

これが自分探しの極意だと思われる。