友人から、邪気を祓(はら)う扇子とやらを
お土産にもらった。
なんでも、あおぐと邪気が祓われるらしい。
旅行先の神社で買ったそうだ。
私はそれを有り難くいただいた。
しかし、そもそも邪気とは一体何だろう？
一体どういうものが邪気なのだろうか？
私は帰宅後、早速この扇子で
それを確かめることにした。
まずは扇子を自分に向けて、あおいでみた。
瞬時に消し飛ばないところを見ると、
どうやら私は邪気ではないらしい。
私はホッと胸をなで下ろした。
続けて様々な物に扇子をあおいでみた。
しかし、多くの家具や家電は
びくともしない。
どうやらタンスや冷蔵庫も、
邪気ではないらしい。
だが、そこにたまっていた埃は舞い散った。
埃は邪気。メモメモ。
また、落ちていた髪の毛も
ひらひらと飛んだ。
髪も邪気。
なるほど、だからお坊さんは
スキンヘッドにしているのか。
長年の疑問に納得がいった。
また、スーパーのビニール袋も
簡単に飛んでいった。
ビニール袋も邪気。
きっと、だからこそ
マイバッグが必要なのだろう。
この扇子は私に様々なことを教えてくれる。
その後も色んな物をテストしてみた。
さて、判明した邪気の中で
興味深いものがある。
それはお金だ。
千円札や万札は、
あおげば例外なく飛んでいく。
間違いなく邪気だ。
そして野口先生も、樋口先生も、福澤先生も、
実は魔の物だとわかった。
こんな邪気をたくさん持つのは
とても危険なことだ。
だからこそこの世に
暗黒ブルジョアおじさんが
生まれてくるのだろう。
だが、一方で邪気ではないお金もある。
それは10円玉や500円玉といった硬貨だ。
これらは邪気を祓う扇子であおいでも
まるでビクともしない。
邪気ではない証拠だ。
結論
お金は500円まで。
それ以降は邪気。
