今日は友人のツトム氏とドライブに行ってきた。
いや、
「ドライブに行った」
というのは正確ではない。
ドライブに行ったというより、
ドライブに連行されたので、
受け身型を使った方が適切だ。
というわけで私はドリヴンされてきた。
早朝、私は突然の轟音に叩き起こされた。
「ヴォォオオン!」
私 「うるっせぇ!今何時だと思ってるんだ!」
ツトム 「午前6時前。
今日は早めに出発しようと言ってたじゃないか。
だからこうして押しかけた」
私 「まぁ、そうだな・・・」
私は半脳死状態で車に引きずりこまれた。
私 「それにしても、こんなうるさくする
必要はないんじゃないか?」
ツ 「いや、これは俺がイキって
鳴らしてるわけじゃない。
この車自体がそもそもうるさいんだ。
ガタガタ言うし、ヴォンヴォン言う」
私 「凶悪な車だ」
ツトム氏の車は独特だった。
静粛性や乗り心地を犠牲にし、
ただただスピードのみを追求した
恐ろしいデザインだ。
私 「これは2、3人はひき殺してる形ですよ。
何人殺ったんだ?」
ツ 「いや、人は殺してはいない」
私 「では何を殺したの?」
ツ 「高速道路で突然飛び出してきた狸を
避けられなかったことがある」
私 「そういえば
『最近狸が庭を荒らしに来て最悪だ!
殺す!狸殺す!』
と言っていたな。
きっと快楽殺人者めいた気分に
なったのだろう」
ツ 「いや、本当に気分が落ち込んだ。
思わずマジレスしてしまった。
結局、俺は自分の言ったことを
実行できない人間だとわかった。
俺に狸は殺せない。
これではまるで口だけ人間だ。
俺はただのおしゃべりくそ野郎だ」
私 「いや、そっちの方が
まともだと思うぞ・・・」
私 「それにしても、本当に車で
色んなところ行ってるよね。
アウトドア派だな、うらやましい」
ツ 「いや、俺はインドア派だ」
私 「え、そこらへんを走り回ってるじゃないか」
ツ 「ここはな、実質自分の部屋なんだ。
俺は自分の部屋ごと外出している。
つまり、外にあって内にある。
わかるか?」
私 「いや・・・」
ツ 「そういうぶっだはインドア派?
それともアウトドア派?」
私 「私はドア」
ツ 「ドアとは」
私 「インドア派にもアウトドア派にもなれない。
入る人間によって、
ただ開け閉めされる。
そんな存在なんだ」
ツ 「哀れな存在だな」
みなさんはどっち派?