昨日は友人と都電荒川線に乗ってきた。
都電荒川線とは、
東京に走る路面電車のことだ。
あの「自分も車の仲間ですよ」
みたいな顔をして道路に乱入する
ふてぶてしい電車である。
我々は、そういうしたたかさを
学ぶため、荒川線に訪れた。
今日はそのレポートだ。
荒川線の駅は、とても簡素なものだった。
改札もなければ人もいない。
ただ小汚い小さな屋根があるだけだ。
まるで限界集落さながらの
荒涼とした風景である。
しかも周りには、
雑司が谷(ぞうしがや)霊園が広がっている。
人の気配が感じられない。
異界へと繋がっているのだろうか?
不安を感じながらも
しばらく駅で待っていると、
ミニチュア電車がやって来た。
これが都電荒川線である。
ちなみに写真を撮るのを
忘れたので、各自ググッたり、
妄想を膨らませたりして、
好きなように想像して欲しい。
ともあれ、荒川線の奇抜な姿に、
期待が高まった。
私 「やっぱり路面電車はわくわくするな!」
友 「そうだなぁ」
そして我々は勢いよく
車内に飛び込んだ。
が、中はみっちり超満員だった。
私 「私のわくわくは死んだ」
友 「俺も」
我々の眼から急速に
光が失われていった。
一体なぜ休日にわざわざこんな
へんぴな所まで来て、
通勤ラッシュを味わっているのだろうか?
果たしてこんな休日でいいのだろうか?
一体生きるとは何なのだろうか?
人生について疑問を感じ始めた我々は、
早くも次の次の駅で、
電車を降りた。
都電荒川線の旅は終わった。
ちなみに降りる時、
「東京さくらトラム」という名が、
車体に掲げられていた。
どうやら都電荒川線は、
「東京さくらトラム」
という名前に改称されたらしい。
だが、ここには、
東京も、さくらっぽさも、
トラムさも感じられない。
それでも彼らは
そう自称している。
やはりこのふてぶてしさは、
見習いたいところであった。