だいたい日刊 覇権村

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ゴージャスな宿泊

先日、所用で少し遠くへ行く機会があった。

そしてそこで1泊してきた。

だが、今日は少し奮発して、

ちょっとゴージャスな所に

泊まることにした。

いつもなら、囚人を罰するために作られたような、

独房みたいなビジネスホテルに

泊まるところだ。

しかし、今日は違う。

ゴージャスなホテルである。

ちなみに私の観点では、

1万円以上のものは

すべてゴージャスと形容している。

今回の宿泊費は1万円。

ゴージャスだ。

 

さて、ホテルへ入ると、

私はスタッフと目が合った。

するとその瞬間、向こうは

すたすたとこちらに近づいてきた。

しまった!ポケモントレーナーだ!

ポケモンバトルを挑まれる!

私は腰のモンスターボールに手をやった。

だが、スタッフの対応は、

予想外なものだった。

 

「お越しいただきありがとうございます。

どうぞこちらへ」

 

とカウンターへ案内された。

これには驚かされる。

いつもだったら、疲れきった刑務官のような

支配人がいるだけだった。

ホテルで人間としてカウントされるなんて

はじめてのことかもしれない。

私は突然の優しさにどぎまぎしながら、

部屋へ案内された。

 

部屋は、ゆったりとした間取りの良い部屋だ。

室内を見回すと、

受話器が備え付けてあった。

急に寂しくなった時は、

これにかければ

支配人が話し相手になってくれる。

社会不安を抱えた顧客に優しいホテルだ。

 

また、ゲストコメントカードなるものも、

室内にあった。

これも急に寂しくなった時、

「文通しませんか?」

と支配人に手紙を書くためのものだ。

すると支配人から返事が届き、

暖かいヒューマンドラマが始まるわけである。

小粋な演出に唸らされる。

どこまでもかゆいところに

手が届くサービスだ。

 

さらに、クローゼットの中には

ライトがついていた。

これは嬉しい。

これならいつも押入内で宿泊する

自称猫型ロボットにも対応できる。

幅広い顧客層にも満足いただけるだろう。

 

と、部屋には色々あったが、

とにかく疲れた。

私は着替えてすぐにベッドに横たわった。

しかし、次の瞬間、私は飛び起きた。

 

「なんだ!このやわらかさは!」

 

体がみるみるうちに沈み込んでいく。

これはすごい。

私は急いでブランド名を調べた。

銘はこう打ってあった。

「シモンズベッド」

直訳すると、シモンのベッドという意味だ。

だが、これはもうシモンのベッドではない。

私のベッドだ。

絶対誰にも渡さない。

 

さらに調べてみると、

その厚みは7.5インチ。

戦車砲みたいだ。

実際、このベッドは私の肩と腰を直撃した。

その結果、たまった凝りは

瞬時に粉砕された。

私はシモンズベッド改め

ブッダズベッドに横たわり、

思う存分熟睡した。

翌日、私は寝坊した。