先日、外出先でホテルに宿泊した話を書いた。
そして翌日寝坊したことも。
寝坊してしまったものはしょうがない。
ここは開き直って優雅に
ブランチを楽しもうじゃないか。
私はホテルのビュッフェを
ゆっくり味わうことにした。
さて、ビュッフェはその響きの通り、
エレガントな場所だった。
色とりどりの食べ物が
上品に並んでいる。
私は一介の紳士として
そこにふさわしい振る舞いを心がけた。
落ち着いてゆっくりと取っていこう。
まず目をつけたのはキッシュだ。
いかにもおしゃれな料理である。
取ってみると一目でその良さがわかった。
うん、良いチーズを使っているな。
これは間違いなく
ブルゴーニュ産の最高級チーズだ。
知らんけど。
ではキッシュの次に食べるものといえば、
普通は一体何だろう？
そう、さしみこんにゃくだ。
私はすぐにさしみこんにゃくを取った。
うん、良いさしみこんにゃくを使っている。
これは間違いなく
グンマ国 シモニタ州から直輸入した
最高級さしみこんにゃくだろう。
知らんけど。
食べ物は他にも、
まだまだたくさんあった。
「クロワッサンか、それもいいな。
ひとついただこうじゃないか」
「だし巻き玉子か、それもいい。
こちらはふたつもらっておこう」
「お、肉もあるな。みっつだ」
「野菜も取ろう」
「魚はないのか？あった！」
「デザートも欲しい！果物も欲しい！」
「まだだ！まだ足りない！」
「もっとだ、もっと！」
「芋煮だと！そいつもこちらによこせ！」
いつしか私はすべてを忘れ、
欲望のままに行動していた。
そこにあったのは、
すべてを奪い取らんとする
古の蛮族 ヴァイキングの姿だった。
ビュッフェはバイキングへと変わっていた。
ビュッフェとバイキングの違い・・・
それは出されている物の違いではない。
食べる人間が野蛮かどうかなのであった。
