今日は帰宅途中のスーパーで、
「訳ありカステラ」
というのが売られていた。
「訳ありカステラか・・・
一体どんな訳があるのだろう」
私は少し深入りしてみることにした。
さて、カステラ売場のカステラには、
簡単なプロフィールが載せられていた。
「カステラ(37歳 男性 無職)」
カステラの眼は虚ろで、髪はボサボサ、
ざらめはザラザラと、
やや不穏な出で立ちだ。
私は勇気を出して、
インタビューを試みた。
「あなたの強みは何ですか?
学生時代に頑張ったことは何ですか?」
しかし、彼は言葉もなく、首を振るのみ。
ちょっと踏み込み過ぎたかもしれない。
やはり赤の他カステラの事情には、
立ち入り過ぎない方がいい。
私はカステラ売場を去ろうとしたその時だった。
どこからか幼いカステラが駆けてきて、
先ほどのカステラの手を握った。
恐らく6~7歳ぐらいのカステラだろう。
幼さが残る顔に涙を浮かべ、
親カステラに尋ねた。
「ねぇ、ママはどこ?どこに行っちゃったの?」
私はその子カステラを抱きしめ、
何も言わずに訳ありカステラを購入した。
気になるお値段は216円だった。