今週のお題「夏休み」
夏休み、それは新しき時代の始まりである。
世界の至る所で王朝が勃興し、
輝かしき歴史が生まれる。
今日はそれらをいくつかの期間に分けながら、
その盛衰を見ていこうと思う。
黎明期 (7月)
期末試験という大きな敵を倒し、
多くの王達が新たな王朝を立てる。
始まりの時代である。
彼らは帝国の未来を夢想し、
繁栄に向けた計画を練り上げる。
その表情は明るい。
前途には広大な大地が広がる。
全盛期 (8月1日~10日)
新たに誕生した国家の発展は著しい。
それはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、
何者にも止められない。
ある者は海へ、ある者は山へと戦線を拡大し、
帝国はひたすらに膨張を続ける。
またある者は液晶の前に広がる景色に耽溺し、
文化という次元で覇を唱える。
全ての王は繁栄の果実を享受する。
世は黄金期である。
円熟期 (8月11日~20日)
成長の時代は終わった。
だが、繁栄の終わりを意味するわけではない。
都市で築いた王国は、
地方へと拠点を移し、
建国以来の遺産を噛みしめる。
初期のような勢いはないが、
その分、初期の疲労を癒すような
ゆったりとした安定と楽しみがある。
だが、どこかから不穏な気配が近づく。
衰退期 (8月21日~25日)
長い下り坂が始まった。
国土のあらゆるレベルで衰退の色が見られる。
もはや帝国に往年の輝きはない。
これまであった資産は蕩尽され、
莫大な負債を抱える。
民の顔には不安と焦燥が色濃く滲む。
復活の見込みがないことは
誰の目にも明らかだ。
それは歴史が証明している。
王達にできるのは、
かつての栄光の復権ではなく、
帝国をどう軟着陸させるか、
そこに思いを巡らせることだけである。
その双肩には多くの課題がのしかかる。
だが、その舵取りに成功する者は稀である。
崩壊期 (8月26日~31日)
内乱である。
国中がパニックに陥り、
無政府状態となる。
初期に約束したプランは何一つ実現されず、
民の怒りと嘆きが爆発する。
これまでの負債の帳尻が突きつけられる。
その上、北方には学校、
南方にはオカンという
巨大な近隣諸国から圧迫が加えられる。
内憂外患である。
だが、もはや抗う術はない。
世界の終末は近い。
滅亡 (9月1日)
夢は終わった。
もう何も残ってはいない。
もう何も戻っては来ない。
あんなに繁栄を築いた帝国も、
嘘のようにあっけなく滅びた。
輝しき時代はすべて歴史書の中にしかない。
王は死に、民は絶望の内に四散する。
終わり無き暗黒時代の始まりである。