この前、一蘭というラーメン屋へ行った。
名を聞いたことがある人もいるかもしれない。
ここはかなり独特なラーメン屋だ。
店の入り口はとても目立たぬところにあった。
その先は地下の薄暗い穴ぐらへと続いている。
階段を下り、店内に入ると、
目の前に広がっていたのは・・・
独房のような光景だった。
七つの大罪である食欲の罪を犯したり、
ラーメンに関する罪を犯した者が
ここに投獄されるのだ。
私も以前、人のラーメンからメンマを
強奪するという重罪を犯した罪人なので、
囚人となった。
獄中は他の囚人との会話が
極端に制限されている。
囚人がすべきことは、
ただ刑に服することのみというわけだ。
ブツはこのすだれから出てくる。
刑務官達の顔を見ることはできない。
相手が何者なのかなんて、
知ることはないし、知る必要もない。
そして囚人達は時間になると、
本格派とんこつ醤油ラーメンの刑に処せられる。
刑はお好みでメンマや
チャーシューを加刑したり、
油や麺を減刑したりすることもある。
ここはある程度囚人の裁量が認められている。
さて、ラーメンの方だが、
本当に罪深い味がした。
五臓六腑に染み渡るような刑だ。
自分が罪人なのだと再認識させられる。
刑務官達は罪深いラーメンを淡々と出し、
囚人達は黙々とそれを食す。
ストイックな光景である。
また、独房にはこんなシステムもあった。
声を出すことは許されず、
刑務官への要望は筆談でなされる。
ここでは罪を悔いる囚人達が、
替え玉やチャーシューなどの加刑を
自発的に求める。
他にも、刑務官に
「メアド教えてください♪」
などと書く者がいる。
だが、返ってくるのは
「だーめ☆」
とか
「失せやがれ☆このチャーシュー野郎」
などという言葉だ。
刑務官との関係構築はやめておいた方がいい。
我々と彼らでは身分が違うのだ。
立場をわきまえよ。
こうして私は十数分の服役を終えた。
これらの刑に服すると、体重が増加したり、
不健康になるという罰が待っている。
だが、不思議と再犯者が相次いでいるそうだ。
無論、私もその1人である。