だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

新しい傘を買った話

我が家を取り巻く傘事情には問題があった。
それはまともな傘が無いということだ。
あるのはビニール傘ばかりである。
やはり良い傘を1本ぐらい欲しい。
そこで私は傘選びを始めることにした。

果たして傘に求めることは何だろう?
やはり仕込み傘が嬉しい。
鋭利な日本刀ぐらい仕込めなくては
傘とは呼べない。
仕込み傘を買おう。
そうすれば夜道で辻斬りに遭っても、
問題なく返り討ちにできる。
私は迷わず暗黒ギルドに
特注品を注文しようとした。

だが、もし夜道で警官に呼び止められたら
どうしよう?
返り討ちにするか?
それでは私が辻斬りではないか。
私は泣く泣く仕込み傘を断念した。

その後も仕込みスタンガンで妥協しようとか、
ショットガンを内装しようとか、
あれこれと悩んだ。
だが、結局選んだのは殺傷力がまるで無い、
女子供が使うような普通の傘だ。
UVカット機能がついているのが
ちょっぴり嬉しい。
最近は紫外線が気になるお年頃なのだ。

そういうわけで、私はちょっとだけお高めの
普通の傘を購入した。
ちょうど今日は雨だし早速使ってみよう。
そしてみっともないビニール傘は処分しよう。
私は新しい傘を持って、ドアを開けた。

だが、そこでとある考えが去来した。

「待て、これはせっかく買った良い傘なんだ。
濡れたらもったいないじゃないか」

そう考えた私はビニール傘の処分を止め、
予備のビニール傘を持って行くことにした。
これで安心である。

それでは気を取り直して出発だ。
私は予備のビニール傘を持って、ドアを開けた。

だが、そこでまたもや、とある考えが去来した。

「待て、もしこのビニール傘がやられたらどうする?
そしたら新しく買った傘を
差さなきゃいけないじゃないか。
そんなことをしたら
せっかく買った傘が濡れてしまう。
とてもじゃないがそんなことは耐えられない」

でも心配はいらない。
なんていったって、
うちにはビニール傘がたくさんあるんだ。
予備のビニール傘は守り、
予備予備ビニール傘をまずは使おう。

こうして私は今日も安心して
いつものビニール傘を持って行った。