先日、ヤツメウナギが食べられる
珍しいお店に行ってきた。
皆さんはヤツメウナギをご存知だろうか?
外見はウナギのようにニョロついた姿。
そして名は八ツ目ウナギと書く。
これは目が8つあることに由来する。
と言っても目が8つなんて、
なかなか想像しづらいだろう。
でも幸い、今日行った店では、
ヤツメウナギの絵が掛かっていた。
それを見れば一目瞭然だ。
こんな感じである。
2つじゃねぇか。
普通の生き物と変わらねぇ・・・。
どうやら8つ目と言っても、
あとの7つは目ではなく、エラらしい。
正答率12.5パーセント。
留年確定である。
いや、それどころか、
エラも目もそれぞれ1対ずつあるのだから、
仮にエラを目と見なすとしても、
ジュウロクツメウナギでなければおかしい。
また、ヤツメの方だけでなく、
ウナギの方にも問題があるようだ。
ヤツメウナギは生物学の分類では、
ウナギの仲間ですらないらしい。
それどころか狭義の魚類からも外れている。
ヤツメウナギはヤツメでもウナギでもない。
なんと矛盾をはらんだ生き物なのだろう。
これからは「ヤツメウナギ」から、
「ヤツメ」と「ウナギ」を抜いて、
「 」と呼ぶことにしよう。
このように、大幅な改名を強いられた
「 」だが、大切なのは名前ではない。
一体お前が何者で、何を成し遂げられるのか。
それこそが重要なのだ。
もし何か価値あるものがあるならば、
名前は「 」だろうが、
チャンドラグプタだろうが、
ンジャナラパヤットムだろうが、
何だっていいのだ。
店内には「 」の詳しい説明書があった。
なるほど、食べる眼薬か。
眼にとても大きな効能があるようだ。
「 」よ、色々言ってすまなかった。
君は立派な生き物だ。
君がいればもう眼薬はいらない。
人は眼薬を差す恐怖から解放される。
貴公こそ人類の解放者だ。
ヤツメでもウナギでもないが。
では、具体的にはどういう効果があるだろうか。
まず、メガネをかけている人ならば、
帰りはメガネは捨てて帰ることだろう。
裸眼でもう十分なのだから。
だが、それだけではない。
100メートル先でポケモンを
プレイしている子どもがいたとしたら、
彼が今どんなポケモンに
モンスターボールを投げつけたか、
それすら瞬時に見極めることができる。
そして慣れてくれば、
直接視界に入るもの以外も見えるようになる。
最終的には、ボツワナ在住のボボナン君(9歳)が、
今まさに狩ろうとしているガゼルの毛並みまで、
ありありと見通すことが可能だろう。
「 」、すごいパワーだ。
それでは食事の方に移ろうと思う。
料理には素材本来のうま味を出せるよう、
工夫が凝らされているとのことだ。
「 」の味をそのままの姿で
味わえる料理がこちら!
なぜだ。
なぜ春巻きなんだ。
もう何も原形をとどめていない。
勇気を振り絞って一口食べた。
気になる味の方は・・・
うーん、ししゃも・・・?
ちょっと苦いししゃもの春巻きだ、これ。
ヤツメウナギはししゃも。
私はそう結論を下した。