だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

不老不死の探求

不老不死。

それは古今東西

人類がずっと追い求めてきた夢だ。

無論、私も追い求めていた。

私も幼い頃は不老不死に

なることばかり考えていたものだ。

 

子ども心に、死はとにかく恐怖であった。

 

「死んだらこれまで培ってきた

キャリアが無駄になってしまう!」

 

5歳児の私はよく思ったものだ。

 

そして子どもの頃の私は、

足りない頭で必死に対策を考えた。

 

だが、カブトムシとザリガニの

ことしか考えてこなかった頭には、

その問題はあまりに荷が重かった。

 

結局、私が出した結論は、

 

「プラスチックになる!」

 

というものだった。

 

前日見たウミガメの番組の、

「プラスチックの袋は永遠に残るんです!」

というメッセージにインスピレーションを

受けたからだ。

 

プラスチックなら死なない。

プラスチックなら永遠に生きられる。

プラスチック不滅思想が私の頭脳を支配した。

 

だが、世界はそんなに甘くはなかった。

大人になるに連れて、

「人はプラスチックになれない」

という残酷な現実を知ることになる。

 

小学生の高学年になる頃には、

私はプラスチックになる夢は諦めた。

 

だが、プラスチック不滅思想は、

私の中に根強く残っていた。

そこで生み出した答えは、

「プラスチックになる」のではなく、

「プラスチックを使う」ことだ。

 

人はプラスチックにはなれないが、

プラスチック製品を使い、

それを残すことで、

自分が生きた証を残すことができる。

 

人が子をなし、

自分という存在の痕跡を

子孫へと繋いでいくように、

私もプラスチック製品で

自分という存在を後世へと

繋いでいくのだ。

どのみち、こんな有り様では、

子孫を残すのは厳しいものがある。

 

そういうわけで私は、

プラスチック製のペンや

筆箱に思念を込め、

自らの複製を残すことにした。

 

だが、しばらくすると、

世界観を揺るがす大きな事件が起きた。

私が大事にしていたプラスチック製の

ロボットが、2階から落ちてしまい、

こっぱみじんに砕け散ったのだ。

 

そして同時に、

私のプラスチックへの幻想も

こっぱみじんになった。

 

プラスチックは不滅だ。

私が死んでも私がプラスチックを

使った痕跡が残る。

それは幻だった。

プラスチックは私より早く死んだのだ。

 

こうしてプラスチックは、

畏怖から軽蔑の対象へと変わった。

やはりプラスチックは地球の敵だ。

一刻も早く滅ぼした方が良い。

 

それから多くの年月が経った。

状況が大きく変化したのは、

つい先日のことだ。

 

最近、近くのスーパーで、

厚めのビニール袋を配り始めた。

有料にはなったが、とても丈夫な袋だ。

それをマイバッグとし、

10回ほど連続で使っているが、

いまだに穴1つあいてない。

それを見て、私は思った。

 

「やはりプラスチックは不滅なんだ!」

 

プラスチックルネッサンスの到来である。 

 

やはり不老不死にプラスチックは不可欠だ。

では、不老不死になるために、

プラスチックをどう利用すればいいか。

私はずっと考えている。

 

 

 

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