だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

雪かきの思い出

久々の雪である。
東京で雪は珍しい。
そういえば以前、東京で大雪が
降った時のことを思い出した。

あの時は夕方から夜にかけて、
大雪が降った。
そして、翌朝には雨になって、
ぐしゃぐしゃになる可能性があった。
雪がサラサラの内に、
雪かきをしておく必要がある。

困ったのは雪かき用具がないということだ。
雪かき用の大きなシャベルも、
スノープッシャーも無かった。
もちろん雪国仕様の火炎放射器も無い。

必要な物が無い時はどうするか?
そういう時は頭を使うんだ。
人は困難に接した時、
知恵を使って乗り越えてきた。
人はそうやって進化してきたのだ。

私は頭を使った。
何か先が平らで雪かきしやすい物は
無いだろうか?

まな板しかねぇ・・・

しかもダイソーで買った奴だ。
ペラペラの奴である。

仕方がない。これを使おう。
ここらへんが私の頭の限界だった。
こうして深夜の雪かきクッキングが始まった。

最初にやったことは、
1回でどれぐらいすくえるのか、
確かめることだ。
まな板をグッと雪に差し込み、
そのまま持ち上げた。
こんもりと積もった雪。

その時、通行人と目が合った。

「それ、食べるの?」

と怪訝な目を向け、
そのまま足早に去っていった。
私は無表情でそのまま雪かきを続けた。

まな板の雪かきポテンシャルは低い。
シャベルに比べれば、
雪かき能力は虫けら程度であった。
だが、それでも私は
どじょうすくいの要領で、
えっさほいさ、とかいていく。
自らの行く道を切り開くために。
栄光の朝を迎えるために。

しばらくやっていると、
まな板にも良さがあることが
わかってきた。
普通のシャベルより小回りが利く。
つまり、きめ細かい対応が
可能ということだ。
小さな者でも、機動性を駆使すれば、
大きな敵に勝つことができる。
ベトナム戦争において、
物量で劣るベトコンが
米軍を倒したように。

だが、ここはベトナムではなかった。
戦力差はどうにもならなかった。
結局、雪は私の腰に壊滅的な打撃を与え、
圧勝していった。

次はもっと幅の広いまな板を買おう。

そう私は思った。