腕時計をつけている人は多い。
しかも、みんな結構良いものをつけている。
だが、私は腕時計をするのが、
あまり好きではなかった。
片方の腕だけにつけているのは、
どうもバランスが悪い。
つけるなら、同じやつを両手に
1つずつつけねばならない。
しかし、出費もかさむし、
見栄えもよろしくない。
それに、どうせ時刻を見たところで、
物事が計画通りに行くことなんて無いのだ。
そういうわけで、私は長らく
腕時計をしないできた。
だが、以前こんな話を聞いた。
なんでも、腕時計の役割は、
時刻を示すことだけではないようだ。
「例えば、帰宅途中に強盗に遭ったとしよう。
財布の中に、ほとんどお金がなくても、
高い腕時計をしていれば、
それを渡して命だけは勘弁してもらえる。
腕時計はつけた方がいい」
という話だ。
私は「なるほどな」と思い、
これからは腕時計をしていこうと思った。
だが、結局今も私は腕時計を
つけていないので、
強盗に遭っても普通に殺されると思う。