その床を渡ろうとした時、
とある隻眼の老人に止められた。
そしてこんな忠告を受けた。
「その床は眼を欺くものだ。
お前が眼に頼っている限り、
理を掴むことも、
その道を渡ることもできはしない。
眼を閉じろ。
そして心の眼で捉えよ。
答えはお前の心の内にある」
私はハッと気づかされた。
この世の理、物事の道理、
そうした真理に触れたような気がした。
「こやつ、ただ者ではない」
私は老人に感謝の念を伝えようと
振り返ってみたら、
老人の姿はどこにもなかった。