だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

彼は助けを求めている!

今日の帰りの列車でのこと。

車内はそこそこ混んでおり、

席には座れなかった。

なので、吊革につかまり

立ちながら電車に揺られていた。

 

しばらくすると、目の前に座っていた

男の人が、舟を漕ぎ始めた。

きっと疲れて眠かったのだろう。

まばたきも何度もしていた。

 

だが、気づいたことがある。

それはまばたきの異変だ。

彼は不規則な周期で目を開閉し、

ひどく不自然なまばたきをしていた。

 

私は一目でわかった。

 

「これは・・・モールス信号だ!」

 

きっと何らかの事情があって、

口では助けを求められないのだ。

恐らく監視されているのだろう。

 

あの優先席で訳知り顔で

こちらを見ている老人が怪しい。

優しそうな顔をしているが、

それは表の顔。

 

裏では毎日美女を侍らせながら、

罪なき領民をライオンに食べさせ、

それをガウン姿で見下ろしながら

20年もののワインを飲み干すのだ。

許せない。

 

目の前の男は助けを求めている。

そして、モールス信号で私に

SOSサインを送っているんだ。

 

高校時代、サバイバル系の

作品を見すぎた私は、

もしもに備えてモールス信号を覚えた。

 

残念ながら遭難することもなく、

使う機会はまるでなかったが、

とうとう役に立つ日が来たのだ!

私はすぐに解読を試みた。

 

解読の結果、真実は明らかになった。

 

彼の心の叫びは

 

「ウオイヘヘ」

 

だった。

 

目の前の男は眠いだけだとわかった。

 

 

 

 

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