今日は用事でやや田舎の方に
訪れることがあった。
現地住民と話していると、
近くにパワースポットが
あるとのこと。
パワースポット。
直訳すると力場。
なんとなく力をもらえそうな場所である。
いや、単純にパワーという
意味じゃないかもしれない。
力うどんの方の力だと解釈すると、
お餅がもらえそうな場所である。
どちらにせよ、
グッドプレイスだ。
私は帰りに立ち寄ることにした。
力場はやや高台にある
神社めいた場所だった。
どことなく不思議なパワーを感じる。
私と同じようにパワー目当てで
来たような人達もちらほらいる。
問題は階段である。
高台にある以上、
長い階段は避けて通れない。
私は脆弱な生き物なので、
少し上っただけで、
息切れしてしまった。
なぜパワーを得るために、
力を失うような真似を
しなければならないんだろう。
こんな行為に一体
何の意味があるのだろうか。
そこまで考えたところで、
全てを察した。
「ここはパワーをもらえる場所じゃない。
パワーを持っていかれる場所だ！
自分は被捕食者の側だ！」
きっと先ほど話した人たちも、
後日訪ねてみると
知る人は誰もいない。
そして、会ったはずの場所は、
実は墓場だったりする。
あ、ホラー映画でよくあるやつだ！
私は尻尾を巻いて逃げ出した。
追加でさらにパワーを失ったが、
何とか命までは取られずに済んだ。
自分が奪う側なのか、
それとも奪われる側なのか。
パワースポットで問われるのは、
それだけである。
