前回のつづき。
前回、よしみひゃっけつが、
よしみひゃくあなだと知り、
これまで信じてきたもの
全てが打ち砕かれた。
何が真実で、何が嘘なのか。
もはや何も信じられない
深刻なアイデンティティクライシスを
抱えながら、私は先に進んだ。
入園料を払い、
吉見百穴の敷地に入ると、
最初の難関がある。

この穴に顔を入れるかどうか。
ここで多くの勇者達が
ふるいにかけられる。
こんな障害物がある時点で、
このダンジョンがソロではなく、
パーティーを組んだプレイを
想定していることがわかる。
もし仲間を連れているなら、
戦士系を突っ込ませてみたり、
あるいは自分がここで
心の傷を負ったとしても、
白魔法士に回復魔法を
かけてもらえる。
だが、1人でこれに臨んだとして、
温かい言葉をかけてくれる者は
誰もいない。
そもそもやる意味がないし、
撮影もできない。
私はこれを避けた。
この後、ボス戦も控えているかもしれない。
こんなところで体力を
消耗しているわけにはいかない。
私は次のステージに進んだ。
このトラップを越えると、
すぐそこには教科書で見た
あの光景が広がっていた。

この穴をじっと見てほしい。

何か出てきそうじゃないか?
私はこの光景から
インスピレーションを得た者が、
ワニワニパニックを作った
という仮説を立てた。
あの穴からワニがたくさん出てきて、
それをハンマーでタコ殴りにするやつである。

この説には自信がある。
次のワニワニパニック学会では、
このテーゼを発表しようと思う。
さて、穴の近くには、
この遺跡の説明板があった。

その中で気になる一説があった。

明治の考古学者が、
この遺跡を土蜘蛛人(コロボックル人)の
住居だと断定した!?
何なんだ、コロボックル人って。
しかし、その後の
考古学の発展によって、
さすがに否定されたようだ。
どんだけ進んでいなかったんだ、
明治の考古学・・・
いや、しかし、私もさっき
大胆な仮説を立てたばかりだしな・・・
明治の考古学を馬鹿には
できないかもしれない。
もうすべてがわからない。
そんな思いを抱えながら、
調査班(1名)は更なる謎に迫った。
つづく
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