だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

花火君の忠告

遠くで花火の音がなった。

どこかで花火大会をやっているようだ。

是非見たい。

ここ数年、花火大会はどこも中止だった。

血中花火濃度が不足している。

体が花火を求めている。


私は高いところに上り、
辺りを見渡した。

すると、地平の向こうが
花火で明るくなっていた。

しかし、目の前の大きなビルが
それを全て遮っていた。

あのビル、爆破して欲しいな・・・

そんな不穏な思いがよぎった時、
ふと1つの思い出が蘇った。


昔、プラネタリウムへ行った時、
あるプログラムが上映された。

主人公は花火君。

彼が自分の生い立ちを
話していくという物語だ。

花火君は言った。

僕は火薬でできている。

怒りっぽくて、
いつ爆発するかわからない。

でも、江戸時代の頃から、
頑張って人を楽しませるように
生きるようになった。

だけど戦争が起きて、
僕は人を傷つけるようになった。

僕はもう何かを壊したりしたくない。

火薬は悪いことに使っちゃいけないんだ。


私の中の花火君は、
そう私に語りかけた。

私は不穏な考えを持ったことを
恥ずかしく思い、
もう二度とそういう考えは
抱かないようにした。

しかし、最後の大きな花火が上がり、
ちょうどその光景がビルに遮られると、
私の中の花火君は消し飛び、
あのビルは爆破して欲しいなと思った。

 

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