家の近くに大きなスーパーがある。
規模が大きいので、
設備も最新鋭だ。
中でも目を引くのは
入口にある自動アルコール噴霧器。
手をかざすだけで、
自動で人間を検出し、
アルコールを吹きかけてくれる。
この機械、いつも私を
認識してくれない。
代わりにカバンには反応し、
いつも私のカバンだけ消毒していく。
もしや自分を人間だと
思っているのは私だけで、
他の人は皆このカバンを
人間だと思っているのだろうか。
私よりもカバンの方が
人間らしいということなのか。
人間性の否定。
スーパーへ行くたびに、
物を得る代わりに、
人間性を否定され、
心を失い帰って来る。
そして、死んだ目で
買ってきたバナナを食べている。