今日は帰りの夜道で、
不審な動きをしている
おじさんがいた。
ライトで足元の道を照らし、
何かを探しているようだ。
一体何を探しているのだろうか？
おじさんの近くを通り過ぎる時、
私も数秒ほど下を向いて歩いた。
しかし、見つかったのは
木の枝ぐらいだ。
まさか、これを探しているわけではあるまい。
巣作り中のカラスじゃないんだから。
そう思った瞬間、ハッと気づいた。
おじさんの服装、
上から下まで黒づくめだ。
彼はまさしくカラスの化身。
元は間違いなくカラスだ。
寒空の下、おじさんの姿を借りて、
巣を作るための枝を集めているのだろう。
ここは手を貸して、
何か恩を売っておいた方が
いいかもしれない。
そうすればツルの恩返しのように、
何か良いものをお返し
してくれるかも。
では、彼がカラスとして、
どんな恩返しをしてくれるだろうか？
知恵を巡らせてゴミ捨て場から
あさってきた残飯とかを
くれるかもしれない。
あとは集めてきた
ビー玉やCDに破片といった
何か光るものをくれる
という線もありうる。
他には家に近づく人に
片っ端から威嚇行動を
取ってくれたりするかもしれない。
そんなことを想像した後、
私は何も言わずその場を立ち去った。
