今日は田端(たばた)駅へ行く用事があった。
田端・・・あまり来ない場所だ。
この地の知識はほとんどない。
しかし、駅を下りて歩いていると、
ふと強いデジャヴュに囚われた。
デジャヴュ。
行ったこともない場所なはずなのに、
なぜか既視感を感じること。
よくゲームなどに出てくるアレである。
こういうのは掘り下げていくと、
たいてい重要なイベントに突き当る。
そして、その謎を解き明かせば、
新しい物語が動き出すというものだ。
私は田端を通じて、
封印された大切な何かの記憶を
思い出そうと試みた。
もしかしたら自分は王族の末裔で、
王国の崩壊時に
「この子だけは田端に・・・」
と、田端に連れてこられたのかもしれない。
もしくは、田端で昔、
大切な誰かを失い、
そのトラウマを封じるために
記憶の中で田端の存在が
消されて行ったのかもしれない。
いずれにせよ、辛い現実に
耐えなければならなかった。
だが、真実を直視してこそ、
新たな第一歩が踏み出せるというもの。
私は意識を集中し、
過去へと遡った。
この光景に近い物、
田端に関わる記憶。
そして、とうとう突き止めた!
去年、西日暮里に行った時の記憶を。
そりゃそうだよな。
隣駅だものな。
似てないわけがない。
田端のこの殺風景な風景は、
大切な西日暮里の思い出と、
そこで食べた豚骨ラーメンの思い出を
蘇らせてくれた。
新しい物語は何も始まらなかった。