今日は時間があったので、
チェーンソーで庭の木の
伸びた枝をバサバサ切った。
以前日記にも書いたあのチェーンソーだ。
しばらくやっていると、隣人から
「もし可能でしたら、
うちの切り株もやってもらえませんか？
もちろんお代は出しますよ！」
との打診があった。
私はその依頼を受けた。
近所の平和は私が守る。
このチェーンソーで。
私こそが今流行りの
チェンソーマンなのかもしれない。
というわけで隣の家の切り株を見せてもらった。
ただの切り株であった。
すでに上の木の部分は切られている。
半分死んでるようなものだ。
雑魚だな。
チェーンソーを使うまでもない。
私はシャベルで切り株を掘り起こそうとした。
が、これがびくともしない。
木の根が何本も折り重なり、
がっちりと地をつかんでいる。
これはたしかにチェーンソーでやるしかない。
こうして切り株との闘いが始まった。
木の根を一本切ると、
その下からもう1本の根が出てくる。
しかもそれが別の根と絡まりあっている。
その上1本ずつがかなり太い。
これぐらい図太くなれたら
もっと生きるのが楽なのに。
そんなことを思いながら切っていった。
チェーンソーを以てしても予想外に時間がかかる。
切った根の数はすでに9本を数えた。
この切り株、ヤマタノオロチを超える化け物だ。
しかも、まだ第2、第3の変身も残していそうだ。
そんなことをあたふたやってる間に、
日が暮れてしまった。
切り株にはいくつもの生傷がつけられたが、
蹴ってもいまだにびくともしない。
結局、切り株を倒すことはできず、
辺りには激闘の跡が残された。
私はまだ武器の真価を引き出せていない。
これではチェンソーマンとは到底言えまい。
いずれ強くなって必ず倒して見せる。
私は隣人に復讐を誓い、
おめおめと逃げ帰った。
