どうぶつ達との生活も
だいぶ長くなった。
彼らが欲しがる物を渡し、
対価となる金品をもらう。
資本主義である。
そして私は虫取りや釣りをして、
彼らの欲する物をかき集めた。
だが、最近はその手間が面倒になり、
ブローカーから安く買いつけるようになった。
その上、どうぶつ達の会話も
なんだか面倒になり、
相手の話を遮って物を渡す始末だ。
要するに、飽きたのである。
そろそろ私も引退を考えなければならない。
それにただ飽きただけではなく、
このままこの森にいたら
手遅れになる。
その理由は写真を見てくれれば
わかると思う。
理由その1 体のどうぶつ化が始まった。
理由その2 釣った魚より目が死んでいる。
理由その3 時々どうぶつと融合する。
ここにいたら私もどうぶつになってしまう。
一刻も早く脱出せねば。
しかし、こんなことにはなってしまったが、
最初の頃はとても楽しかった。
そこで今日は自分のキャンプ場を見ながら、
楽しかった記憶を振り返って行こう。
それでどうぶつ達とはお別れだ。
寝室
恐らく一番多く利用した場所だと思う。
多くのどうぶつ達が訪れ、
ここに宿泊していったものだ。
しかし、苦しそうにしている
どうぶつ達も時々いた。
きっと簡素なベッドのせいで
旅の疲れが取れなかったのだろう。
もっと良い祭壇にしておけば
良かったなぁと後悔もしている。
個室
どうぶつ達のために作った部屋だ。
この部屋にはちょっと自信を持っている。
なにせプライバシーは守られ、
保温性も高いのだから、
言うことなしだろう。
きっと喜んでもらえたと思う。
キッチン
新鮮な食材を使って、
よく来客にバーベキューを作ったものだ。
どうぶつ達にこの部屋を
見せることはなかったが、
バーベキューはとても楽しんでくれた。
バーベキュー部屋
キャンピングカーの中に作った部屋だ。
だが、不思議なことに
ここには嫌いなどうぶつを
呼んだ記憶しかない。
思い出とは時にそういうものだ。
しかも、毎回、目を話した隙に
キャンピングカーごと消えていた。
きっと車を盗み去ったのだろう。
あんな連中とは手を切れて正解だった。
ベランダ
晩年には家庭菜園にも手を出した。
ここで取れた新鮮な野菜は、
どうぶつ達にもおすそ分けしたものだ。
野菜はとても人気で、
渡されたどうぶつ達は
みんなハッピーになった。
また、ここで取れた野菜は
なぜかとても高値で取引されたらしい。
私の自慢の菜園である。
こんなところか。
振り返って見ると
キラキラとした思い出達が
現れては消えていった。
とても良い思い出だ。
私は滂沱の涙を流しながら、
どうぶつの森をアンインストールした。
さらば、どうぶつ達!
次に会う時は食う者と食われる者だ。