殿上人(てんじょうびと)のことを
ふと思い出した。
古文に出てくるあれである。
ある一定以上の階級じゃないと、
何かの建物には上がれないという
決まりがあった気がする。
何の建物だったか。
たしか高床式倉庫とかそんなやつだ。
いや、それはネズミ返しだな。
ダメだ、古文の知識が曖昧過ぎる。
古文はずっと苦手だった。
確か最初のつまづきが、
このてんじょうびとだった。
私はこの言葉を聞いて、
天井人(てんじょうびと) と
頭の中で変換した。
名前の響きからすると、
天井に張りつく忍の一種だろう。
かっこいい。
古文に出てくるキャラが、
みんななりたがるわけだ。
てんじょうびと、完璧に理解した!
このように現実と乖離した世界観を
持っていたため、古文の成績は
ずっと低かった。
だが、今の自分はもう
あの頃の弱かった自分じゃない。
和歌も蹴鞠も物忌みも方違えもできる。
そんな私だからこそわかる。
殿上人とは、力士のことだ。
何かに上がれるとは、
土俵に上がれることに他ならない。
なよなよした軟弱な平安貴族達は
力とパワーに憧れた。
だから、みんな殿上人になりたかった。
きっとそういうことなのだと思う。