今日は友人が庭で花を植え始める話を聞いた。
ガーデニングを始めるらしい。
その言葉を聞くと、
私の脳裏に苦々しい思い出がよぎる。
私も以前、庭に花を植え始めたことがあった。
戦場の右左もわからない新兵だった頃の話だ。
土を簡単に耕し、
好きな花の種をたくさん植えた。
その時の感情の高鳴りは忘れられない。
しばらくすると、芽が出始めた。
私は狂喜乱舞し、水と肥料をやり、
毎日丹念に世話をした。
そうして彼らはスクスクと育った。
そして、成長しきった時、
それらが全て雑草だったと
わかったというわけだ。
本命の花はとっくの昔に
雑草にやられていた。
きっと己の死を自覚する暇もなかっただろう。
こうして私はガーデニングで
大切なことを学んだ。
ガーデニングとは、
敵の侵攻をいかに食い止めるか。
いかにして敵を制圧するか。
それが第一である。
ガーデニングとは戦争の一種なんだ。
戦士としての気構えを持て。
私は友人にそう助言した。
「俺の知ってるガーデニングと違う・・・」
と、戸惑いを隠せなかった。
恐らく、多くの戦友を失い、
心に傷を負って帰ってくることになるだろう。