私はこの日を待っていた。
近くのドラッグストアで、
スーパーカップ 紅茶クッキー味が
入荷される日を。
スーパーカップ紅茶クッキー味、
それは期間限定の商品であり、
毎年わずかの間、売られている。
そして、その間だけ、
私の人生は輝いていられる。
それ以外の期間は無に等しい。
もし1年中紅茶クッキー味を
食べられるなら、
1万円出したっていい。
いや、言い過ぎた。
250円(税別)ぐらいは出して良い。
そのぐらい大好きだ。
そんな具合なので、
紅茶クッキー味を見かけた時の
今日の喜びといったら、
筆舌に尽くしがたい。
しかし、毎年問題がある。
それは、すぐに売り切れに
なってしまうことだ。
いつもそれで後悔することになる。
なので、今年は見かけたら、
有り金全て使うことにした。
この店のスーパーカップは、
全て私がもらい受けよう。
幸運の女神に後ろ髪は無いのだ。
そういうわけで、私は
カゴいっぱいにスーパーカップを
詰めて、レジに並んだ。
しかし、ここで妙な視線を感じた。
それは他の客からの視線だ。
このご時世にドラッグストアでの買い占め。
誰もが思い浮かべることがあった。
「あれもコロナに効くのか？」
「いや、まさかな」
「だが、しかし・・・」
周りにはそんな動揺が走った。
私はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、
悠然とそれらを買い占めし、
出て行った。
