今日は押し入れからジャケットを
引っ張り出してきた。
着ようと思ったが、
よく見るとカビが生えている。
もうお別れの時なのかもしれない。
そう思うと、ジャケットとの思い出が
走馬灯のように蘇ってきた。
よう相棒、お前との付き合いは長かったな。
最初に出会った時のことは忘れない。
お前には値引きシールが貼られ、
まるで捨て犬のような顔をしていたな。
俺はそれを見て思わず連れて帰ってきたんだ。
次の思い出は、桜を見に行った時だったな。
あの時のお前はもう元気そうだった。
その顔を見て、俺は安心したんだ。
拾ってきてよかったって。
その後の思い出は・・・・
あれ・・・ねぇぞ。
次の思い出は・・・今じゃん!
1回しか着てないのにカビ生やしたのか?
どうやら、俺は相棒失格のようだ。
またな、相棒。
次に会う時までに、
もっとふさわしい奴になっているよ。
そう言って、相棒を密閉袋に入れ、
押し入れのドアを閉めた。