先日は休日を利用して、
友人とオートマタ博物館へ行ってきた。
オートマタとは、18世紀などに
西洋で作られたからくり人形のことだ。
ぜんまいを回すとわきわきと動き出す。
そんなオートマタをたくさん集めた博物館が、
伊豆にあるらしい。
我々はそこに向かった。
さて、オートマタ博物館に近づくと、
あたりには異様な空気が漂ってきた。
そして目の前には看板が立ちふさがる。
友 「どうだ、楽しそうな場所だろう?
俺のおすすめの場所だ」
私 「生きて出られなさそう」
私は心して入館した。
入ってみると幸運なことに、
ちょうどオートマタの実演が始まった。
係の人がぜんまいを回し、
オートマタが動き出す。
1体目のオートマタはこちら。
棒にするすると登り、
天井の袋を落とした。
だが、この程度なら私でもできる。
いや、私の方がうまくやれる。
何を隠そう私は、
「無人島に漂着したら椰子の木に登って椰子の実を取ってくることに関しては右に出る者はいない男」
と、近所でも評判だ。
オートマタが1つ袋を落とすまでに、
私なら23個は落とせる自信がある。
次のオートマタはおばあちゃん型だ。
ポットからお茶を入れ、
とくとくと飲み始めた。
だが、私だってお茶ぐらい飲める。
それどころか牛乳だって、
トマトジュースだって1人で飲めるのだ。
勝ったな・・・。
私は、またしても圧倒的な優越感に浸った。
続いてのオートマタは曲芸師だ。
椅子を鼻の上に乗せ、
そのままくるくると回し始めた。
ダメだ、勝てない。
これは真似できない。
もしかしたら自分は
オートマタにも劣る存在なのか?
そう思うと私は劣等感に苛まれた。
あと、よく思い返してみると、
係員の表情がどこか
ぎこちなかったような気がする。
きっと彼女もオートマタだったのだろう。
そういえば観客達も
どことなく生気がなかった。
多分オートマタだと思う。
もちろん友人もオートマタだ。
そうでなければこんな場所に
連れてくるわけがない。
恐らくこのブログを見ている人も、
半分ぐらいはオートマタかもしれない。
そうでなければこんな記事を
読むわけがない。
段々怖くなってので、
考えるのをやめよう。
さて、館内には他にも
様々なオートマタがいた。
ゴキブリを始末しようとしたら、
こっちに飛んできた顔のオートマタ。
卒論締切前日の大学生のオートマタ。
留年が確定した大学生のオートマタ。
あとは蛇使いのオートマタもあった。
友 「これ、俺だ」
私 「良いね。蛇使いはロマンがあるよね」
友 「違う、蛇の方。
このつかまれてるやつが俺な。
職場ではずっとこんな感じ」
私 「Oh・・・」
蛇は苦しそうに、
いつまでもいつまでも
うねうねと動き続けていた。