だいたい日刊 覇権村

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ネブライザー吸入体験記

夏風邪を引いた。

特に喉を集中的にやられた。

理由はハッキリしている。

寝ている最中、寝ぼけて冷房を

最強にしてしまったのだ。

きっと寝る前にペンギンの動画を見ていたからだろう。

体が南極を求めていたのだ。

だが、残念ながら私はペンギンではない。

なので私の体は寒さに耐えられなかった。

そして風邪を引いたというわけだ。

そこで今日は耳鼻咽喉科に行ってきた。

 

先生に喉を見せると、症状がひどかったので、

ネブライザーを使うことになった。

みんなはネブライザーをご存知だろうか?

よく酸欠になった人にやるような

吸入マスクみたいなやつだ。

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こういうやつである。

これを装着すると、

マスクから人を幸せにするガスが出て、

吸うと安らかな気分になれるというものだ。

ちょっと話を盛りすぎたか?

ともあれ私は吸入器をつけ、

薬剤の噴霧が始まった。

 

しかし、しばらくすると、

隣のこども向けネブライザー

こんな注意書きを見つけた。

「こどものみんなにはチョコ、バナナ、イチゴ、メロン味があるよ!」

私は愕然とした。

大人には・・・ないのか? 

こんな不公平が許されるのか?

これが格差社会か。

私は突然現れた社会の矛盾に

目の前が真っ暗になった。

こんなものを見せつけられては、

たとえ喉は癒せても、心は癒せない。

 

そうこうしている内に、隣には幼い男の子が座った。

そして、これみよがしに味つき吸入器を物色、

よりにもよってチョコ味を選んだのだ。

「クソッ!私だってチョコ味が良かった!」

そんな私の苦悩も知らず、

彼はネブライザーの吸入を始めた。 

きっと彼には隣に嫉妬に狂う

醜い大人がいるとは想像もできまい。

私も想像したくない。

 

だが、そこで負けてばかりの私でもなかった。

こどもには許されないハイクオリティの

薬剤を吸入しているアピールを始めた。

まるでアルプスの高山の空気を吸い込むような、

そんな爽やかな表情を浮かべながら吸入した。

大人にだって矜持があるのだ。

この戦いには負けられない。

 

だが、戦いの幕は意外な形で下ろされた。

突然こどもは泣き出し始め、

「こんなのチョコじゃない~」

とマスクを放りなげたのだ。

 

私はその光景を見て思った。

「勝ったな・・・」

そして私は心の中で勝利宣言を行った。

だが、そこに充足感は無かった。

まったく、勝利とは空しいものだな・・・。

私は勝負の不毛さを知った。

 

 

 

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