人からにんじんケーキをもらった。
もらったのはいいが、
にんじんはそこまで好きではない。
嫌いというわけではないのだが、
積極的に食べたいものではなかった。
そのため、受け取る時、
「え、あ、うん・・・ありがと・・・」
と、微妙な返答をしてしまった。
帰宅してからケーキを恐る恐る食べた。
圧倒的にんじん力が私を粉々に
破壊されるかもしれない。
しかし、食べてみて驚いた。
にんじんの風味がほとんどない。
にんじんの自我は完全に破壊され、
アイデンティティを喪失した状態で
ケーキにされていたのだ。
粉々に破壊されていたのは、
向こうの方だった。
これならば食べられる。
みんなもにんじんケーキを作る時は
このことを覚えおいて欲しい。
にんじんの自我は確実に破壊しろ。
自分が何者だったのか
思い出せなくなるまでやれ。