だいたい日刊 覇権村

実益のないことしか書かない 毎日21時更新予定

蟹は食べられた

 


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先日、友人から蟹が送られてきた。

この世には2種類の人間がいる。

蟹を送ってくる人間と、

送ってこない人間だ。

友人は素晴らしいことに前者であった。

無論、私は紛れもなく後者である。

私は友人に感謝し、

今日は蟹を焼いた。

 

しかし、ここで大きな難問に突き当たる。

それはとても食べづらいということだ。

蟹は本当に食べづらい。

 

だが、この食べづらさには理由がある。 

これは蟹からの次のようなメッセージだ。

「俺を捕まえたからって、

いい気になるなよ。

ただでは食べさせてやらねぇぜ」

そう、この食べづらさは、

蟹の進化の過程で必然的に身につけたもの。

もしもっと食べやすかったなら、

蟹はとっくの昔に

絶滅していたことだろう。

我々も絶滅したくなかったら、

食べづらくなるしかない。

 

そんなわけで私は思いがけない

甲殻類の抵抗に直面した。

だが、私だって誇り高き霊長類、

食物連鎖の頂点である。

私は敢然と、蟹みたいにわきわきと

腕を動かしながら、蟹を食した。

蟹を食べる時、

我々もまた蟹である。

 

だが、別の問題が発生した。

それは蟹の量が

凄まじいということだ。

有り難いことに友人は

何匹も蟹を送ってきてくれた。

そして愚かなことに私は

それをすべて焼いた。

もう引き返せない。

しかもゆっくり食べているから、

どんどんお腹が膨れてくる。

反撃の甲殻類。

喉元に迫り来るオホーツク海

 

だが、私は漁民の魂でそれに抗った。

そして無事食べきった。

人類の勝利だ。

あとには殻の山が出来上がった。

勝利の証である。

明日はこの殻を持って行って

みんなに自慢しようと思う。

こうして蟹は食べられた。