かなりどでかいリュックを買った。
どれぐらいでかいかというと、
小さい子どもが1人入るぐらいだ。
お値段もそこそこした。
RPGで新しい鎧を買うと、
その場で早速装備していく
タイプの私は、家まで待ちきれずに
すぐ背負って帰ることにした。
だが、帰途で異変は起きた。
町ゆく人々の目の異常な厳しさだ。
「あらやだ、あの人なに運んでるんでしょ?」
「きっと小さい子どもだわ。通報しましょ」
そんなことを噂されてる気がする。
その度に私は目をそらし、
足早に立ち去らなければなかった。
その後もカフェに入ろうとすると、
店員が
「お客様、リュックに小さい子どもを
入れてのご入店はちょっと・・・」
という感じの表情をしていた。
なので、カフェに入るのは諦めた。
近くで天丼屋をやっている
オヤジさんも
「リュックに小さい子どもを
入れてる奴に、食わせる天丼は無ぇ!」
という目をしていた。
私は天丼も諦めた。
まったく、リュックに小さい子どもを
入れてる人に異様に冷たい社会だ。
「やれやれ、リュックに
小さい子どもを入れてる人には、
生きづらい時代になったな」
そう思い、私はリュックに閉じこめていた
小さい子どもを解放した。