ふとオムライスを食べたくなった。
人にはそういう日が
必ずあるものだ。
もし焼肉やラーメンが
食べたくなった時は、
別に食べずとも構わない。
しかし、オムライスの波が
来たなら、おとなしく
食べておいた方が良い。
今はわからなくてもいい。
君が大きくなった時に
いずれわかる日がくるだろう。
オムライスを食べるなら、
やはり自分で作りたいところだ。
なので、帰りに
ケチャップや鶏肉を買った。
これで役者はそろった。
まずは鶏肉を切り、
ライスと一緒に炒め、
ケチャップで味付けをする。
簡単な作業だ。
しかし、次の工程は、
やや複雑である。
オムライスのオムの部分だ。
ここはいかにして半熟にするかが
問われるところである。
もし火を通しすぎたら、
完全に固くなってしまう。
だが、通さなすぎれば、
卵かけごはん化は避けられない。
熟練の技術が試される場である。
しかし、私はそんな心配とは無縁である。
なにせ卵を買い忘れたからな。
それ以前の問題だ。
そういうわけで、
オムライスからオムを抜いた
ただのライスを食べた。
ライスはおいしかった。
でも、オムも欲しかった。
