最近、物忘れが激しい。
どれぐらい激しいかと言えば、
ほんのつい3年前に食べた朝ごはんが
何なのかも思い出せないほどだ。
若年性痴呆症かもしれない。
そういうわけで、しばらく前から
メモをつけるようにした。
メモは良い。
書いている内に記憶が強化されるし、
つまらない説教を聞いている時は、
メモを取る体を装ってお絵かき大会もできる。
一度記録してしまえば、
ずっと残り続ける。
こうして記憶は永遠のものとなった。
一つ問題があるとすれば、
あのメモ帳はどこへ行ったのだろうか。
メモ帳がないと何も思い出せないのだが。
メモ帳をうまく活用するためには、
メモ帳の所在を記録するためのメモ帳も
用意しなければならない。
そしてそのメモ帳がなくなってしまうことも防ぐため、
メモ帳を記録するメモ帳を記録するメモ帳が必要になる。
しかし、そうするとさらにそのメモ帳の紛失を
防ぐための新しいメモ帳も必要となってくる。
こうしてメモ帳がメモ帳を呼び、
世界はメモ帳に包まれた。