だいたい日刊 覇権村

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新北海道旅行記 その3 試される大地

その2のつづき。

 

私は無事、羽田から飛び立ち、

新千歳空港へと降りたった。

なんとか北海道にたどり着いたのだ。

それではさぁ、北国の寒さとやらを

見せてもらおうじゃないか。

言っておくが、私は寒さには強い方だ。

小学校時代は冬でも半袖半ズボンを

着ることもあったし、

シベリア送りになった人の本もよく読む。

人前で冗談が滑った時の

厳しい寒さにだって耐えてきた。

私ほど寒さに強い者もいないだろう。

そう思いながら意気揚々と

空港から出た瞬間、

「あ、無理」

ってなった。

これは無理。

真昼なのにマイナス3℃。

東京からいきなり10℃以上下がっている。

ここは人の住む場所ではない。

 

周りを見渡すと、

あたりにはたくさんの氷像があった。

きっと行き倒れた旅人達だろう。

ここで凍死すると、

こんな風にアートにされてしまうのだ。

 

他にも、つららに串刺しになって

転がっている者もたくさんいた。

札幌は雪祭りだけでなく、

血祭りでも有名な場所なのだ。

早く宿へ避難しないと命はない。

私は急いでマフラーを取り出した。

だが、首に布切れ1枚

巻きつけたぐらいでは

どうにもならない。

とにかく宿だ、宿へ急ごう。

 

空港から札幌駅までは電車で移動した。

そして駅から出てみると、

雪がかなり降っていた。

だが、傘は持っていない。

終わった。

私はここで雪だるまエンドなのだろうか。

そう落胆しながらあたりを見渡してみると、

北海道民は1人も傘を差していなかった。

なぜだろう?

やっぱり面倒なのだろうか。

これぐらい雪に侵略されていると、

もうどうでもよくなって

諦めてしまうのだろうか。

私はそこに雪国的投げやりさを感じた。

だが、郷に入りては郷に従え。

私も捨て鉢になって、

傘なしで打って出た。

 

するとどうだろう。

体についた雪は、軽くはたいただけで

パラパラと落ちていった。

そうか、パウダースノーだ。

札幌の雪は、目の細かいサラサラの雪だった。

東京のように、べったりへばりつく

粘着ストーカー気質の奴ではない。

これなら北海道民が傘を差さないのも納得だ。

私はそこに雪国的合理性を感じた。

私も安心して傘を差さずに外に出た。

 

だが、いくらサラサラだって、

大雪なら結局雪まみれになるのだ。

私は雑に作った雪だるまみたいになりながら、

宿へと向かった。

つづく

 

 

 

 

 

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