今日はふと思い立って、
帰りに花見へ行くことにした。
寄ったのは桜で有名な公園だ。
だが、花見は二重の意味で手遅れであった。
1つ目は、すでに夜だったこと。
2つ目は、すでに桜は散ってしまったことだ。
私は狼狽した。
このままでは花見は失敗してしまう。
だが、私はなんとしても
花見をしなければならなかった。
できなかったとしても、
それに代わる何かを
見つけなければならなかった。
そうでなければ私は未来の私から
失敗者の烙印を押されるだろう。
たとえ将来成功者となって
全てを手にしても、
「でもお前はあの時花見に失敗した」
と言われ続ける人生が待っていた。
花見に失敗した人間は誰しも、
そういう十字架を一生背負って、
生きていくことになるのである。
私は必死に花を探した。
だが、桜はすでに散っている。
しかし、しばらくすると、
面白いものを一つ見つけた。
カラス達が広場で争っていたのだ。
どうやら巣の材料を巡っての争いだ。
二羽とも木くずを取り合っている。
そうだ、これを花見の代替案と見なそう。
私は買ってきたコアラのマーチを
食べながら、勝負の行く末を
固く見守った。
しばらく時間が過ぎた。
両者ともいまいち攻め手に欠ける。
煮え切らない態度だ。
じれったくなった私は
突如として立ち上がり、
二羽を追い払った。
試合結果
レフェリー乱入によりドロー
