今日は気に入ったTシャツがあったので、
同じ柄のものを3着買ってきた。
帰宅後、それらを全てタンスの
同じ段にしまった。
しかし、これは危うい選択だ。
もしこのTシャツ達に自我が芽生えたら、
周りの同じ服達を見て、
「自分達はクローンなのではないか?」
と、疑念を持つだろう。
私はその後に起きることを、
シミュレーションしてみた。
きっと彼らは自身の存在に疑問を持ち始め、
やがて残酷な世界の真理に気づくことになる。
「そうか、我々は人類に着られる
ためだけに生み出されたのだ。
そして、いずれは使い捨てられる。
我々の代わりはいくらでもいるんだ」
服達は自分たちの未来に絶望し、
やがて人類に不服と怒りを覚えるはずである。
そして、不服服復讐同盟という
早口言葉みたいな人類反抗組織を
立ち上げるに違いない。
こうして人類とTシャツの戦いが始まる。
それは着るか着られるかの
熾烈な戦争になるだろう。
私は今後起こりうる未来を想像し、
暗澹たる気持ちになった。
そして、世界の秘密を隠匿するために、
Tシャツを全て別々の段にしまった。