それはミスドの中でも
最も人気のドーナツの1つだ。
もちろん私の大好物でもある。
食べるととてもおいしいし、
非常用に腕にはめておくこともできる。
万能のドーナツだ。
それゆえミスドに行った時は、
必ずといって良いほど注文している。
だが、今日は思いがけぬ場所で、
ポン・デ・リングと出会った。
それはスーパーのお菓子売り場だ。
多くのポン・デ・リングが袋詰めにされ、
とても安価で売られていた。
もちろん私は迷わず買った。
我ながら良い買い物をしたものだ。
家に帰るとすぐさま袋を開けた。
出てきたのはこんなポン・デ・リングだ。
いつもと違い、体は袋に包まれている。
きっと高貴な生まれなのだろう。
私は早速1口食べてみた。
「グニャア・・・」
嫌な食感が口いっぱいに広がった。
これは・・・ポン・デ・リングではない。
ポン・デ・リングに擬態した
ただのドーナツの出来そこないであった。
とんだドーナツトラップだ。
だが、ドーナツ有識者である私を欺くとは、
敵ながらあっぱれな奴よ。
私は誉れある敵に敬意を表した。
丁重に遇そうじゃないか。
そう思ったが、結局八つ裂きにして、
1コブずつむしゃむしゃと食べた。
八つ裂きの刑。
それはドーナツ界における最も重い刑罰。
古来よりミスド帝国に仇なす
逆賊に科されてきた極刑である。