だいたい日刊 覇権村

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新しい靴の選び方

履いている靴がボロボロになってきた。

そろそろ靴を新調したい。

というわけで私は新たな靴を求め、

靴流通センターへ入った。

 

靴の種類は山ほどある。

だが、まずは試し履きしてみる他ない。

最初に選んだのは、

目の前にあった黒い靴だ。

なんかそこにあったから履いてみた。

 

だが、これはハズレだ。

どうもつま先に違和感がある。

こういう靴を履いていると、

足を痛め、外反母趾になり、

やがて全ての指が腐り落ちるだろう。

却下だ。

 

続いて目についたのは、

隣にあった赤い靴である。

ああ、これはダメだ。

もう見ただけでわかる。

こんな靴を履いていたら

確実に異人さんに連れて行かれてしまう。

これも却下だ。

 

このようにあれこれ迷っていると、

店員さんが近寄ってきた。

 

店員 「他の靴を持ってきましょうか?」

 

なんと。

履かせてくれるのだろうか?

まるでシンデレラだ。

私はどきどきしながら待った。

 

だが、残念ながらここはそこまで

ハイレベルなサービスはしていなかった。

持ってきたのはガラスの靴ではなかったし、

靴は自分で履かなければならなかった。

まぁ、当然だが。

 

店員がチョイスした靴は、

サイズがピッタリであった。

見た目も悪くない。

だが、試しに歩いてみると、

床からの衝撃が吸収されず、

ダイレクトに足に来る。

 

これはいけない。

こんな靴を履いていたら

ダメージが足に蓄積し、

やがて膝から崩れ落ちることだろう。

日々様々なものに膝を屈する私だが、

膝自体が崩壊するのは避けたい。

というわけで却下だ。

 

次はランニングシューズを選んでみた。

やはり靴は軽くて走りやすいものが良い。

そうすれば色んなものから逃げられる。

私は試し履きをしてみた。

 

ダメだ・・・これでは防御力が低すぎる。

敵からの攻撃に耐えられない。

それにこんなふわふわした靴を履いていたら、

軽薄な人間だと思われ、

社会の信用を失い、

1人孤独に死ぬことになるだろう。

やはり靴にも人にも重みと厚みが必要なのだ。

もっと重いブーツにしよう。

 

ではどんなブーツなら良いか?

まず、底に鉄板を入れたい。

そうすれば画鋲を踏んでも、

忍びの者にまきびしを撒かれても大丈夫だ。

あと人から足を踏まれた時のため、

靴の表面にも厚い鉄板を入れたい。

でもまだ不安だ。

全面をハリネズミのように釘で覆おう。

あとは有刺鉄線も必要だ。

 

ここまでくればひと安心。

たとえ人から裏切られても、

この靴だけは裏切らない。

そんな気がする。

 

だが、こんな人間不信の象徴のような靴を

履いていたら、人から避けられ、

やはり1人孤独に死ぬことになるだろう。

残念ながらこれも却下だ。

 

そうこうしていると、

店員は一番おすすめの靴を持ってきた。

これが実に素晴らしい。

重すぎず軽すぎず、

サイズもピッタリだ。

履き心地も最高である。

私は迷わずこれに決めた。

 

私 「これにします!おいくらですか?」

 

店員 「2万円です」

 

おっと12時の鐘だ。

はやくお家に帰らなきゃ。

私は魔法が解ける前に退散した。

 

 

 

 

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